解離性障害

意識や記憶に関する感覚をまとめる能力が一時的に失われ、生活に支障の生じる精神疾患です。
それにより、気づくと見覚えのない場所に来ていたり、意識している自分とは異なる人格が現れたりする・・・という現象が起きることがあります。

解離の種類

解離性健忘ストレスに関する記憶を失う
解離性遁走記憶を失い、気がつくと違った場所にいる
解離性同一性障害別の人格が現れる
離人症性障害リアリティーが薄まり、外から自分や景色を眺めているような感覚になる

特に有名なものとしては別人格の現れる「解離性同一性障害」がありますが、アメリカで実際にあった事件をもとにした『24人のビリー・ミリガン』という作品がメディアで紹介されたこともありました。

解離性障害の歴史
「解離症状」はもともと「ヒステリー」という精神疾患のなかにみられていました。
ヒステリーには「解離症状」とともに身体反応が現れたりする「転換症状」が含まれていました。

1895年、フロイト,S.が発表した『ヒステリー研究』では主に「転換症状」へ焦点が当てられています。一方、フロイトと同じくシャルコーの弟子であったフランスの精神科医ジャネ,P.は二重人格に注目します。ジャネは研究のなかで初めて「解離」の概念を病的な状態として提示していくこととなりました。
(臨床現場にひたむきであったジャネの臨床力は高く、フロイトよりも先に無意識を発見したともいわれていますが、精神分析の台頭により、その理論は一時、影を潜めることとなります)

1970年代、アンリ・F・エレンベルガーがジャネの研究と解離の問題を再提起します。ベトナム戦争帰還兵のPTSDの研究、フェミニズム運動の高まりから性暴力被害者に同様の症状が注目され、「解離症状」が再び取り上げられるようになりました。
1980年代には、精神障害診断の手引書DSM−Ⅲで「多重人格障害」が単独の障害として記載されました。

PTSDとの関連
先述のように、解離性障害は“耐え難いストレス”などから発症することがあります。
そのため、トラウマ体験から生じるPTSDとも大きな関連がみられます。

解離性障害を誘発しやすい要因として、①強いストレス②虐待③性的被害をはじめとする心的外傷体験、などが想定されます。

解離性障害の治療
解離性障害の治療は心理療法、カウンセリングなどによる心理治療が基本となります。
また、症状に関するストレス反応などへ薬物治療が施されることがあります。

しかし、厳密にいうと、小さな解離は日常生活のレベルでも起きています。例えば、「気にかかる出来事を一時的に忘れ、気持ちを切り替えている」「無我夢中になった状態」・・・なども正常な解離として理解することができます。

解離の症状は一見すると不可思議なため、困ったものとして注目されがちです。しかし、症状を抱える方からすると、そうすることが自身の心を守るための最後の対処法であったということもできます。

治療においては、心理面接などの落ち着いた場のなかで、実際の出来事とそのときに起きた自分の気持ちや感覚とのつながりを辿り、自己コントロール感を取り戻していきながら、ストレスに対する対処法へ取り組んでいきます。

心理的なもの
(パニック障害)(PTSD)(強迫性障害)(場面緘黙)

(うつ病)(双極性障害)(摂食障害)(解離性障害)
対人関係の悩み
(適応障害)(自閉症)(ADHD)(パーソナリティ障害)
家族関係の悩み
(アダルトチルドレン)(共依存)(愛着障害)(不登校)

自分をよく知りたい
(夢と無意識)(反復夢)(箱庭療法)(描画療法)