愛着障害

からの虐待・養育者交代などをはじめとする幼少期の不安定な養育環境によって愛着の形成不全が生じ、行動上特に対人関係上に難しさのみられる障害です。

2つの分類
愛着障害には、一見すると2つの正反対に見えるタイプがあります。

反応性愛着障害人との関わりを求めない。一人の世界に閉じこもっている
脱抑制型愛着障害誰とも関わりをもつ。一方で半ば無意識的に困らせる行動などをとり、相手の気をひこうとすることもある

愛着障害の研究
1945年、戦後の孤児院で子ども達の心身に発育の不調がみられやすかったことから、スピッツ,R.という精神分析家が『ホスピタリズム(施設症)』という論文で養育環境と心の成長への影響を指摘しました。
その後、精神分析家ボウルビィ,J.が「愛着」という言葉を「親との間で培われる情緒的な絆」という心理学的な意味で初めて用いています。

発達障害との類似
先述の「反応性愛着障害」は自閉症に、「脱抑制型愛着障害」はADHDに似た状態がみられやすくなっています。このことは幼いときの養育がなんらかのかたちで育ち――とりわけ脳の発達に発達障害と似た作用を及ぼすからだといわれています。

行動は違いますが、2つの状態の根本は愛着対象の不在、いわゆる安全基地となる存在の不在にあります。充分に甘えを受け止められなかった経験が他者と親密な関係を築くことが難しかったり、気持ちを話したり、助けを求めたりすることの苦手さへと繋がっていきます。
また、幼少期に注目されがちですが、大人になっても愛着障害を抱えたままで気づかれずに過ごしている人もいます。

治療において大切なこと
愛着障害のある人の難しさは、相手からの好意ややさしさを受け取ることの苦手さや、頭では理解していてもその思いを伝え返すことが難しい点にもあります。
セラピーのなかでは、そういったことを含めた現在の自分の思いや感じ方、過去の体験を整理し直すこと。また、特定の人との関係が継続していくことも大きな指針となります。

心理的なもの
(パニック障害)(PTSD)(強迫性障害)(場面緘黙)

(うつ病)(双極性障害)(摂食障害)(解離性障害)
対人関係の悩み
(適応障害)(自閉症)(ADHD)(パーソナリティ障害)
家族関係の悩み
(アダルトチルドレン)(共依存)(愛着障害)(不登校)

自分をよく知りたい
(夢と無意識)(反復夢)(箱庭療法)(描画療法)