双極性障害

躁状態とうつ状態の2つの極の行き来を通常の気分を挟んで繰り返す気分障害の一種です。以前は「躁うつ病」とも呼称されていました。明確な躁状態を伴う場合を「双極Ⅰ型障害」、軽い躁状態を伴う場合を「双極Ⅱ型障害」として分類しています。

躁状態にみられやすい行動

自尊心の肥大化「自分は何でもできる」など気が大きくなる
睡眠欲求の減少眠らなくても(行動上は)元気で過ごせる
多弁人の話をさえぎって話す。一日中しゃべったり、電話をかけまくったりする
観念放逸、行動心迫次々にアイデア(思考)が浮かぶ。また、話がとびやすくなる
注意散漫1つのことに集中できず、落ち着きがなくなる
活動性の増加仕事などの活動量が増加し、よく動くようになる。(破壊的な逸脱行動につながることがある)
快楽的活動に熱中クレジットカードやお金を使いまくって旅行や買い物をする。性的逸脱行動に出る

うつ状態にみられやすい行動

抑うつ気分気分が落ち込む
興味、喜びの著しい減退自然に出てくる興味や感情がなくなる
著しい体重減少または増加、食欲の減退もしくは増加体重の増減が激しく起こる、食欲が極端に変化する
睡眠の変化眠れない。または眠りすぎる
精神運動性の焦燥または制止焦りが出る、もしくは話し方や動作が抑制的になる
疲労感、意欲の減退疲れやすく、気力が湧かない
無価値感、罪責感自分を責める、または無価値に感じる
思考力、集中力の低下考えられない、決断ができないなど
希死念慮死にたい気持ちが出てくる。または自殺の計画が浮かぶ

混同および関連しやすい精神疾患
うつ病との鑑別が重要であり、薬の処方が違います。また、躁状態のときに「パーソナリティー障害」と見分けがつきにくくなる場合もあります。その他、躁的な多弁さや注意散漫な様子が実は「発達障害」によるものであったということもありえます。

クレッチマー,E.の分類
精神科医クレッチマーは体型と気質、疾患との関連を仮定し、「分裂気質」「粘着気質」「循環気質」の3つのタイプを分類しました。そのなかでクレッチマーは循環気質の人と躁うつとの関連性について指摘しています。現在では、体型と気質との関連には否定的な見解が多いのですが、双極性障害それ自体は生来的な要因もよくみられます。また、下田光造は「執着気質」という気質を提唱しており、体質と興奮性の異常との関連からうつや躁うつとの関連性を述べています。そのため、生まれながらの体質と「気質」という視点は疾病に絡むものとして、1つの視点であるとはいえるかもしれません。

双極性障害の治療と見通し
服薬治療とともに心理社会的治療、個人心理面接ではセルフモニタリングやセルフコントロールに取り組みます。躁状態のときには周囲の人が過剰に反応しやすく、状況によっては良くない結果に結びつくこともあるため、病気への理解はいっそう大切になります。気分の変化への対処の幅を広げるとともに人づきあいの仕方、変調につながりやすい要因などにも目を向けていきます。

心理的なもの
(パニック障害)(PTSD)(強迫性障害)(場面緘黙)

(うつ病)(双極性障害)(摂食障害)(解離性障害)
対人関係の悩み
(適応障害)(自閉症)(ADHD)(パーソナリティ障害)
家族関係の悩み
(アダルトチルドレン)(共依存)(愛着障害)(不登校)

自分をよく知りたい
(夢と無意識)(反復夢)(箱庭療法)(描画療法)