分析心理学者のなかでも類稀な功績を残したノイマンの代表的著作。
1949年に発表された本書はユング,C.G.の元型論をもとにしつつも古代の文化史、象徴の発達史を調査し、意識の発達段階を体系化するといった独創的な発想と研究にもとづいている。言い換えれば、個人の自我意識の発達は人類の意識の発達史を辿るともみなされる。
ノイマンは意識の発達に5つの段階をあげ、「ウロボロス」「太母」「英雄の誕生」「母殺し・父殺し」「対立の結合」を解説している。
なかでも太母元型の背後にあるウロボロスについては創始者ユングの研究をさらに展開させた重要な考察がなされている。
また、『意識の起源史』は西洋的な自我の発達モデルを提示したともいえ、東洋の自我意識との比較・参照をするうえでも重要な著書といえる。
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