ユング派分析家の河合隼雄が1983〜1988年に行ったエラノス会議の5講義をもとにしたもの。
鎌倉時代の僧である明恵の夢の分析、中空構造論、昔話・伝説から捉えられる西洋と異なる“内なる異性”との在り方…などをはじめとし、思想の根幹となる講義が収録されている。
心理発達において、「父性原理」の強い国にみられる原父の克服に対し、「母性原理」の強い国にみられる怖い母のモチーフが指摘されており、臨床的にも重要な観点が読み取れる。
また、「母性原理」「父性原理」による違いから、「異類婚」などを通して人間が自然に反していく(もしくは自然へと女性が回帰していく)ことの意味や、性への直接性の違いなどが考察されている。
西洋人から分かる形にして日本人の心の在り方を伝えているため、大局的な捉え方ともなりうるが、そのぶん、対比的に考察がしやすくなってもいる。
カテゴリー