著者はユング派分析家の精神科医。副題は「西洋人との夢分析の一事例を中心として」とあり、スイスのユング研究所での担当ケースを掲載している。(また、日本ユング心理学会 第1回大会で発表した事例でもある)
西洋人の臨床事例としてだけでなく、著者の心理療法のエッセンスが散りばめられている。なかでも東洋に典型的な事例とは異なる異性像の変化、イニシエーションのプロセスが克明に表されている。
また、本書には訓練時にユングの末娘から聞いた父親としてのユングについてのこぼれ話なども含まれている。
夢分析の過程を理解するうえでも貴重な資料となるだろう。
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