『心的外傷と回復』ハーマン,J.

心的外傷とその治療に関する海外の代表的著作の1つ。
日本でも震災のあとで「PTSD」という言葉が有名になりだした1996年に邦訳され、出版された。

トラウマに関するデータや治療プロセスのほか、初期の精神分析、社会・歴史的背景の変遷を辿りつつ、時代のなかでの理解および不十分さを述べている。読み進めるなかでアメリカでの「PTSD」という疾患概念が当国での戦争、性暴力等の社会背景を経つつ形成されてきた、という実感がなされる内容となっている。

本書で提起される長期反復的な心的外傷から生じる「複雑性PTSD」への見解はDV・児童虐待への理解と支援においても特筆すべきものである。

厚みのある内容のなかでトラウマへの理解と治療に大きな指針を与えてくれる。

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