『グレート・マザー』ノイマン,E.

分析心理学の大家ノイマンの主著の1つ。2部構成であり、数ある元型のうちグレートマザーについて論じている。

Ⅰ部はグレートマザーをはじめとする主に女性の元型の心理学的機能および構造を論じる。母なるものの“包み込む”(「飲み込む」という二面性のある)という「基本的性格」、自身の“女性性”が変容し、意識・人格へ変化をもたらす「変容的性格」について述べ、その形態の分化を解説する。

Ⅱ部は絵画・遺物などの資料をもとに元型が心にどのように反映されうるか、変容のプロセスを描き出す。
ノイマンは文化人類学者バハオーフェン,J.J.の『母権論』の思想もしくはその思想的影響を評価、参照しつつも自身の心理学的な視座から見解を述べている。

1956年に記された原著であるが、西洋で1930-40年代から学際的なテーマであった「原初の母親」、ひいては“女性性”が重要視されていく歴史的な背景をもつ一冊である。

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