知能検査の歴史

ビネー式知能検査と教育への利用
世界最初の知能検査とされるものはフランスのビネー,A.とシモン,T.によるビネー・シモン法だといわれています。
1905年に作成されたこの検査はスタンフォード大学の研究グループによって改訂され、ビネー式知能検査となりました。

この検査は当時、小学校就学時の子どもの発達的な適応の可否(知的水準)を判断するうえで有用な視点となり、成功を収めていきます。

ウェクスラー式知能検査の開発
一方、ビネー式知能検査は知能を全体的に捉えるための工夫がなされてきたものであり、それらを分析的にみていくことへは難しさがありました。

そこで、アメリカの心理学者ウェクスラー,D.が知能を「目的を持って行動し、合理的に考え、環境を効率的に処理するための個人の集合的ないしは全体的能力」と定義し、1939年にウェクスラー式知能検査の原点となるもの(ウェクスラー・ベルビュー知能検査)を作成しました。

知能検査の発展
WAIS(通称ウェイス)はWechsler Adult Intelligence Scaleという専門家と受験者が個別で行う知能検査の1つです。先述のウェクスラー・ベルビュー知能検査を発端とし、改訂を加えながら教育現場・医療現場などで長年活用されてきています。

また、幼児版のWPPSI、児童版のWISCも能力の把握や得意なことを生かした支援の検討などの目的で現場での支援に活かされるようになります。

一方、ビネー式知能検査もその適用のしやすさから、日本では就学前の子どもや児童相談所などをはじめとした多くの現場で活用されてきました。

1983年には海外で子どもが興味を持って取り組みやすく、なおかつ認知処理過程と実際の習熟度から評価できるK-ABCが開発され、日本でも標準化されてきています。