『発達障害への心理療法的アプローチ』河合俊雄(編)

発達障害のあるクライエントの心理療法について書かれた専門家向けの書籍。
「主体の欠如」を発達障害の特徴にあげ、内面に象徴やメタファーが作れないことや、自分のもちにくさ、自他の区別の難しさ等を指摘する。
自閉的な世界のなかから、セラピストとの結合と分離、結合・・・といったプロセスを通し、治療の「鏡」としての機能が主体成立に作用することを論じている。

「主体がない」ものへの支援という観点はこれまでクライエントの自主性や自発性、あるがままの姿をまず受け止めることに重点を置いてきた心理療法にとっては新たな視点を提示しているともいえる。

事例が各箇所に記載されているため、臨床的な感覚をもとに読み取っていくことができる構成となっている。

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