『分裂的機制についての覚書』クライン,M.

発達最早期にあたる乳児の防衛機制、分裂的な対象関係を論じる1946年の論文。
クラインを学ぶうえで必須の概念が記されている。

「抑うつポジション」に先行する「妄想-分裂ポジション」について言及されているほか、投影と取り入れの特殊な相互性のなかで用いられる「投影同一化(projective identification)」を提唱している。

クライン自身の考えをまとめつつ、分裂的な対象関係のなかでの防衛機制を論じており、「抑うつポジション」が前面に出るまで、ないしその通過についての心理的過程を述べている。また、精神病的不安と原初的防衛機制など主たる理論をもとにしつつ、フロイト,S.の「シュレーバー症例」を取り上げながら論が展開される。

クラインが「抑うつポジション」への移行または行き来をいかに重要視にしたがみてとれるほか、当時に精神病・パーソナリティー障害への治療の道を切り開くなかで分裂・排除していたものの統合がいかに重要かつときに困難な作業であったかが感じられる。

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