行動療法

1950年代に体系化された学習理論(行動理論)を基礎とする心理療法の1つです。
ターゲットとなる「行動」に対し、適切な行動の「強化」、もしくは不適切な行動の「弱化」ないし「消去」を目指しており、現代に至るまで様々な方式が考案されました。

古典的条件づけ
行動療法のもととなった各理論を遡るとき、有名な実験に「パブロフの犬」があります。
1900年代、ロシアのパプロフ,I.P.によって行われた「古典的条件づけ」の実験は以下のようなものです。

①犬に「ベル」と「餌」を同時に提示する
②犬はしだいに「ベル」=「餌」と結びつけ、「ベル」が鳴るだけで「餌」がもらえると思い、ヨダレが出るようになる

いわゆる「条件反射」といわれるこの反応を利用した当方式はのちに「学習理論」と呼ばれるようになります。

オペラント条件づけ
1930年代、アメリカのスキナー,B.F.が「オペラント条件づけ」を発見します。ソーンダイク,E.の「効果の法則*」に基づいたこの理論は「偶発的な行動」に「報酬」や「罰」を与えることで、その行動を多くしたり、減らしたりできるというものです。

「飴とムチ」ともとれるこの方式は「行動分析」「応用行動分析」という一体系を築き上げていき、のちの「認知行動療法」へと発展していきます。

*生体は失敗を繰り返し、試行錯誤によって無駄のない正しい動きを身につけていくという法則

満足の法則満足をもたらすら反応は結合を強くし、起こりやすくなる
不満足の法則不快をもたらす反応は結合を弱くし、起きにくくなる
強度の法則満足・不快の程度が強いほど、結合力は強くなる

社会的学習理論
1950年代、カナダ人の心理学者バンデューラ,A.が「社会的学習理論」を提唱しました。
「観察学習」とも訳される彼の理論はシンプルにいうと、「実際に経験せずとも、モデルを見ているだけでそれを学習していく」というものです。

これによって「古典的条件づけ」「オペラント条件づけ」「社会的学習理論」の3つが出揃い、ドイツのアイゼンク,H.J.によって「行動療法」として定義されていきました。

精神分析との違い
行動療法の特徴として、現在の症状・行動上の問題だけにフォーカスする点にあります。そのため、精神分析のような自己探求的な心理療法とは働きかけを異にしており、1つのアンチテーゼとして展開していきました。また、クライエント中心療法のような受容的側面とも観点は異なりますが、「適切な行動を広げて、不適切な行動もしくは反応を減らす」という広義の捉えからはそれらに共通するものをみることも可能です。

行動療法から認知療法、認知行動療法へ
その後、人間性に焦点を当てた「人間性心理学」や認知面に焦点を当てたベック,A.の「認知療法」の登場などにより、行動療法の勢力は衰退していきます。そして近年、「認知行動療法」の注目によって、行動療法はそのなかへと分類されていきます。

行動療法は客観的に「取り組みー結果」が測定しやすく、発達障害を抱える子どもの療育場面などでも比較的、取り入れやすい面があります。また、古典的条件づけの発想を利用した「エクスポージャー法」や「系統的脱感作法」、オペラント条件づけに属するスモールステップでプログラムを組む「シェイピング」などは心理療法全般に通ずる大切な視点を与えてくれます。